2019年3月に東京で現役を引退したイチロー。
言わずもがな、走攻守が揃っているイチローはメジャー通算3089安打、日米合わせると4367安打を放つなど日本が世界に誇る安打製造機。
独特の世界観、そして華麗な守備や走塁でもアメリカの野球ファンを虜にしたイチローは「まだできる!」と惜しまれながらも引退。
現在は会長付き特別補佐兼インストラクターとしてシアトル・マリナーズで貢献しているイチローが、日本時間15日のホワイトソックス戦前に引退セレモニーを行いました。
今回はそのイチローのスピーチを聞いていて、1つの言いたいことでもいろんな言い方があるんだなと感じる事が出来た面白い表現をピックアップしてみました。
という事で、イチローの引退スピーチから学ぶ英文の独特な表現を書いていきますよ!というか、つっこませてくれ(笑)
イチローの引退スピーチ(Ichiro’s farewell speech)
まずはそのイチロー選手の感動スピーチをご覧ください。
Thank you.
(ありがとう。)
I am so nervous. Ok, let’s do it.
(とても緊張してます。じゃあ、始めましょう。)
Dee, Yusei! No crying tonight. No crying.
(ディー(ゴードン)・雄星!今夜は泣くなよ!)
This is a happy occasion. When I retired that night in Tokyo, I had an incomplete feeling because the great fans of Seattle could not be there.
(これは幸せな機会です。東京で引退したあの夜、僕は不完全な気持ちでした。なぜなら、シアトルの素晴らしいファンがそこにはいなかったからです。)
Tonight, I want to express my appreciation to you for your touching support over the years.
(今夜は、僕を何年も温かくサポートしてくれたファンの皆さんへ感謝の気持ちを表したいと思います。)
When I came to Seattle in 2001, no position player had ever come from Japan before. The one you got was 27 years old, small and skinny, and unknown.
(僕が2001年にシアトルに来た時、それまで日本から来た野手はいませんでした。マリナーズが獲得した一人は、27歳で、小柄で細くて、そして無名でした。)
You had every reason not to accept me. However, you welcomed me with open arms, and you have never stopped even when I left and came back.
(僕を受け入れられない色んな理由があったにも関わらず、みなさんは両手を広げて歓迎してくれてました。そして、それはチームを1度出てまた戻ってくるときも止まりませんでした。)
I was so grateful for the chance to return in 2018, and the reason is you fans. Thank you Seattle.
(2018年にシアトルに戻るチャンスをもらった時は嬉しかったです。なぜならファンの皆さんがいたからです。ありがとうシアトル。)
I also appreciate the fans across America who supported me in New York, Miami, and even in many places as a visiting players.
(また、僕をサポートしてくれたニューヨーク、マイアミ、そしてビジター選手でも応援してくれたアメリカ中のファンの皆さんにも感謝します。)
Baseball is truly a national pastime in America. I was so happy to play in front of the people who love and respect the games so much.
(野球はアメリカの国民的な娯楽です。僕は野球を愛して、尊敬するファンの皆さんの前でプレーすることができてとても幸せでした。)
It has been an honor to play baseball with and against some of the greatest competitors I have ever known. They inspired me to raise my game to a higher level.
(偉大な野球選手達(競争相手)と味方として、そして敵として一緒にプレーが出来た事も光栄でした。彼らは僕を高いレベルへと引き上げてくれました。)
Now, I have the pleasure of spending time with these young and talented players who will bring the franchise a championship.
(今は、チームを優勝へと導いてくれるであろう若くて才能ある選手達と過ごしていることを楽しんでいます。)
Despite the language and culture gap, not to mention an age difference of 20 years, I enjoy being around them because I feel their passion for the game I love is genuine.
(言語や文化の違い、言うまでもなく20歳もの年齢差があるにも関わらず、僕は彼らと一緒にいることを楽しんでいます。なぜなら、僕が愛している野球へ彼らの情熱は本物だと感じるからです。)
As I look back through my career, if there is anything that gives me pride, it is that I overcame the daily challenges, and I have an equal passion for each day, from the first one in 2001 to the last one in 2019.
(僕のキャリアを振り返って、もし何か誇れることがあるとするならば、それは2001年の初日から2019年の最後のひまで日々の挑戦を乗り越え、情熱を常に持ち続けてきたことです。)
As we enter the final days of a long season, every player should remind himself, “What does it mean to be a professional?”
(こうやって長いシーズンの終盤に入り、全ての選手が思い出すべきことは「プロフェッショナルとは何か?」ということです。)
These last days are just as important as the first ones and all those in between. Every day, you need to go about your business with same passion.
(この最後の日々は、シーズンの序盤と同様に重要です。毎日、同じ情熱を持ってやるべきことをやる必要があります。)
That is the greatest gift you can give to your performance and to the fans who come to enjoy this special game.
(これは、あなたが自分のパフォーマンスとこの特別な試合を楽しみに来ているファンの皆さんへ与えることができる素晴らしい贈り物になるはずです。)
To the Seattle Mariners organization, I am forever grateful to you for giving me the chance to play the game I love in the city I have come to love.
(シアトル・マリナーズの皆さん、僕は自分が愛する街で愛する野球をプレーできる機会を与えてくれたことに永遠に感謝します。)
Thank you also to my family for your endless support.
(そして常にサポートしてくれた家族にも感謝します。)
Now, let’s play baseball!
(じゃあ、プレイボール!)
スピーチ中の覚えておきたい単語・表現
- touching support:暖かいサポート(touchingは感動的なという意味)
- You welcomed me with open arms:両手を広げて歓迎してくれた
- grateful:感謝する、嬉しく思う
- pastime:娯楽
- despite~:〜にも関わらず
- genuine:本物の
- overcame:克服した(overcomeの過去形)
イチローは英語でもイチローだった
いやぁ感動的なスピーチでしたねー。
そもそも東京ドームの時、僕泣いちゃいましたからね。はい。
野球好きなんです(笑)
そんなんどうでも良いですけど、僕が今回のスピーチを聞いて思った事は、
イチローはやっぱりイチローだった
って事ですよ。
もう分かってましたけど、あそこまで偉人な人ってだいたい変人ですよね←言い方
普通にインタビューとかで喋ってる姿を見てきて、ちょいちょい思ってたんですけどね、
英語でもイチローですやん!
って確信しました(笑)
イチローは日本語で話すときも独特の間合いがありますよね。
英語でも文を区切ることによってその独特なリズムが維持されていました(笑)
イチローがスピーチしたこの原稿を誰が用意したのかは分かりませんが、難しい単語や表現は一切なく比較的分かりやすいスピーチだった印象を受けます。
ただその中で、面白い表現だなと思った2つの文をあげてみました。
- I have an equal passion for each day
- Every day, you need to go about your business with same passion
I have an equal passion for each day(情熱を常に持ち続けてきた)
まぁまず最初に言わせてもらうと、
“I had an equal passion for each day”
じゃないかなと思いますけど、伝わるんであればいいんですよね←
“equal passion”は直訳すると「平等な情熱」という意味ですので、”each day”(それぞれの日)に”equal passion”(平等な情熱)を”I had”(持っていた)してたってこと。
つまり、常に同じ情熱を持ち続けていた訳です。
ちょっとなんか難しくない!?
あまりにもイチローすぎない?←は
これをもっと簡単な英文にすると、
というか僕がこれを訳してと言われたら、
“I always kept my passion every single day”
としちゃうと思います。
絶対俺の表現の方が良くない?←
*always:常に
*every single day:1日1日
Every day, you need to go about your business with same passion(毎日、同じ情熱を持ってやるべきことをやる必要がある)
単純に思いませんか?
“go”ってどこ行くねん。
って。
「あなたのビジネスについて行く必要がある…」
なんて訳さないように注意しないといけませんね。
僕はここは普通に“do”で良いと思うんですよね。
僕が訳せと言われたら、
“Every day, you need to do your business with same passion”
もしくは、
“Every day, you need to do what you should do with same passion.”
と表現します。
ん〜こっちの方が分かりやすくないですか?(笑)
まぁ人によるか!(笑)
あ、ちなみに、「あなたのやるべき事」という言い方は英語で“your business”(ユアビジネス)と言います。
「この仕事はあんたの仕事」=「あんたがやるべき事」ってニュアンスなのですがぜひ覚えてください。
ちなみに、「あんたには関係ないでしょ!」って言いたい時は、
“None of your business!”(ノーンオブユアビジネス!)
です。
この機会に覚えて帰ってください(笑)
とにかく今回のイチローの引退スピーチを通じて1つ言えることは、
イチローのスピーチ良い教材すぎるぅ!!